福島県立博物館が発行する『福島県立博物館紀要』第40号に、弊社代表取締役・秦勝敏が共著者として参加した研究ノート 「震災遺構の記録における3Dデジタルデータの意義 ―大熊町熊町小学校を対象とした3DGSによる震災遺産アーカイブ―」 が掲載されました。このたび同館ウェブサイトにて全文PDFが公開されましたので、あわせてお知らせいたします。
本稿は、福島県立博物館・大熊町役場・弊社の協働による震災遺構デジタルアーカイブの実践報告です。震災から十数年が経ち、復興が進む一方で当時の痕跡は急速に失われつつあります。すべてを物理的に保存することが現実的でない中、「何を、どのような形で未来へ手渡すか」という問いに、技術と運用の両面から向き合いました。
対象は大熊町立熊町小学校の校舎です。3D Gaussian Splatting(3DGS) により校舎全体を三次元空間として再構成し、写真や図面では捉えにくい距離・導線・視線の抜けといった空間的関係を、閲覧者が自ら移動しながら参照できる資料として整備しました。同時に論文では、3DGSが撮影視点の分布に品質を強く依存すること、細かな文字情報の再現には限界があること、測量精度を保証する幾何モデルとは目的が異なることを明記し、元画像や点群データと併せて保存・管理する方針を採っています。技術の適用範囲と限界を明示することが、記録を長く使える資料にするための条件だと考えています。
3D空間技術を事業の中核とする弊社にとって、こうした「失われつつある場」の記録は、技術が本来向き合うべき対象のひとつです。本取り組みはCSR活動の一環として継続してきたものであり、今後も関係機関と連携しながら、地域の記憶を未来へ手渡すための検討を重ねてまいります。

論文情報
- 題目:震災遺構の記録における3Dデジタルデータの意義 ―大熊町熊町小学校を対象とした3DGSによる震災遺産アーカイブ―
- 著者:秦 勝敏(南国アールスタジオ株式会社 代表取締役)・苧坪 祐樹(大熊町役場生涯学習課)・筑波 匡介(福島県立博物館)
- 掲載誌:『福島県立博物館紀要』第40号(2026年3月)pp.33–38 研究ノート
- 全文PDF(無料公開):https://general-museum.fcs.ed.jp/file/3642
- 紀要一覧ページ:https://general-museum.fcs.ed.jp/page_publication/bulletin
- 冊子体:第40号 900円(税込・391g)。福島県立博物館ミュージアムショップにて販売されています。
